線形代数総論
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科目について
以下の内容は2023年度のものである。
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本年度は講義はオンデマンド形式、試験・小テストは対面となっている。
全12回の講義のうち9回を森田先生、後半3回を伊達先生が担当なさる。
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本講義は筑波大の工学システム学類(一般の大学における工学部的な立ち位置)の二年次において開講される。
線形代数総論A、Bを合わせて一年間ぶっ通しで行われる。特にBは春Cから秋Cまで
4モジュール間にわたり実施される。他の講義と立ち位置が異なるので
履修するときは注意すること。
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一週置きに確認問題・演習問題の順でレポートが課され、およそ一か月に一回小テストが行われる。
このために、学生は一年の大半を線形代数の学習に割かれることになる。
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指定の教科書は「線形代数要論」(培風館)だが絶版である。amazon等で古書を入手するか,大学の書籍を利用すること。(3冊ある)
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以下にこの単位を取得するにあたっての注意を述べる。
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おそらく大半の学生は演習問題を解くための基礎体力がそもそもないと思われる(私もなかった)ので、まずは一年次における教科書や、上に示す教科書の演習を一通り解いてから
講義の内容に取り掛かることを非常に強く薦める。
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オリジナルの資料を用いて講義が展開されるが、これも、時間をかけて格闘しないと理解できない内容となっている。とにかく数学的に一般化された内容であり,即座
には具体的なイメージが掴めないものばかりである。(基底表現式と表現行列の関係性や、線形空間の定義とそれから導かれる定理の論理など)
しかし、難易度について一切の躊躇なく講義資料の中から小テストに出題されるため、内容の理解に努めることは必須であり、特に講義資料に掲載されている定理については、
何も見ずに証明込みでスラスラ紙に書きだして、この講義を履修していない大学の友達にわかりやすく教えられるくらいには仕上げておいた方がよい。(これをしていると、ある日突然証明問題
が解けるようになって、この授業が楽しくなってくる。)
授業は確認問題・演習問題に関する動画のみで、新しい概念はあまり登場しない。その意味において、本講義はいわゆる「線形代数演習」のようなものだと心得てほしい。
動画の内容については、確認問題では一つ一つ丁寧に解答つきで解説する一方、演習問題については先輩方の解答を評価していくというもので,「これが正解」という模範解答を示してくれず、結局何をどう書けばよいかがわかりづらい。(これは森田先生の講義の特徴で、伊達先生においては演習問題においても解答を提示していただける。しかし前に示したように、森田先生の講義が大半を占めるので、学生のみんなは覚悟した方がよい。)このとき、先輩方がどういうミスをしているか、自分のノートに赤ペンか何かでメモ書きして自分の解答と照らし合わせていくトレーニングをしていると、試験で役に立つことがあると思われる。
毎月小テストや期末試験が行われるが、とにかく平均点が低い試験となる。総合平均は100点中20~30点程。40点満点の大問で平均点が0.9点という問題が出題されたこともある。
学生は一部を除いて、ほぼ全員テストの結果をみて打ちひしがれる。しかし、この結果をみて自己正当化しようとすると、結局さらに苦しくなるのでなんとか踏ん張ろう。
試験は確認・演習問題で扱ったものと一見違う問題が出されるが、定理の証明・演習を丁寧にやれば、先生の聞いていることは演習・確認問題とあまり変わらないことに気づく。
しかし、見た目そのものは毎年変わるので、みんながやる「過去問で耐える」やり方はあまり意味をなさない。
定理の証明・真偽の判定・反例の例示などが7割くらいを占め、この部分においては、論理的にあっていれば、計算が多少間違っていても部分点は出る。一方計算問題も少しだけ出るので、そこは先生からのボーナスだと思って全力で取ろう。
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なお、伊達先生曰く、数学において反例を挙げることは非常に重要とのことで、それが試験にも色濃く反映されているように感じる。常日頃、頭の中で例を考える習慣を身に着けよう。
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以上、後輩のみんながこの科目を乗り越えることを祈って、エールをここに終わる。
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担当教員・科目番号
担当教員:森田 昌彦,伊達 央,若槻 尚斗
科目番号:FG10704(線形代数総論A),FG10724(線形代数総論B)